『能面の怪(のうめんのかい)』は昭和に流行ったおもしろ怖いダジャレ怪談の一つです。
民俗学の説明テキストを意識してお話を書いてみました。
よろしければ読んでみてください!
おもしろ怖い『能面の怪(のうめんのかい)』のお話
能面とは能を舞う際につけるお面のことで、そのルーツは鎌倉時代と呼ばれています。
猿楽・田楽が発展するにつれ、面の作り手(面打ち)も増え、江戸時代には多くの面打ちが活躍しました。
江戸時代において、特に有名な面打師は『酒火兎』です。
八代将軍徳川吉宗にも気に入られた面打師で、打った面の数は100面以上、弟子も十人以上いたと言われています。
その『酒火兎』の弟子の一人に『酒華孤』という弟子がおりました。
『酒華孤』の腕は、師である『酒火兎』に勝ると言われており、彼も多くの面を後世に残しました。
その中の一つに『恨美酒乱』という面があります。
この『恨美酒乱』こそが、数々の舞手を狂わせた『呪われた能面』として有名な面なのです。
垂れた目尻とだらしなく開いた口元の、一見なんでもないように見える面ですが、かぶった舞手は誰しもが舞を忘れてしまうのです。
そして、ふらふらと歩き回り、大声を出し、最後には頭痛におそわれて、寝込んでしまうのです。
この恐ろしい面には、江戸時代から語り継がれる『逸話』が残っております。
今からご紹介する『酒火兎』と『酒華孤』がかわした会話こそが、その逸話であり、面が呪われるきっかけとなったと言われております…
弟子の打ち具合を見ていた『酒火兎』だが、ふと思い出したように言った。
「酒華孤、これ終わったら、近くにできた料理屋にいかねぇか?美味い酒を出すところらしいぜ。」
すると『酒華孤』は手を止め下を向いたまま、「すみません、師匠。お酒はちょっと…」と断った。
それを聞いた『酒火兎』は目を見開いて言った。
「お前酒が、飲めんのかい…?」
飲めんのかい…? 飲ぅめんのかい… 能めんのかい…
『能面の怪』
ダジャレ怪談協会による独自採点
- 伝統のネタ度:★★★★
- ネタ文字数の長さ:★★
- むりくり度:★★★
- 怖い度:★★★
- 師匠の酒好き度:★★★★★
補足説明
『酒華孤』も『酒火兎』も、空想上の人物です。
もちろん、『恨美酒乱』という能面も存在しません。
