『背後霊は杉田さん(はいごれいはすぎたさん)』はぎなた読み『怖いダジャレ話』の一つです。
『背後霊』というよく聞く単語が、オチで書いたような『ぎなた読み』を持っていたなんて、いままで全然気がつきませんでした。
お話部分は丁寧に作りました。またダジャレ会談の後に『本当に怖い話』を付け足してみました。
怖いダジャレ怪談『背後霊は杉田さん』の話
『背後霊は杉田さん(はいごれいはすぎたさん)』
最近、クラスで『変なうわさ』が広まっている。
みんなが前を向いている時、教室の後ろの真ん中に、『誰か』が立っているというのだ。
もちろん、実際に見た人はいないんだけど、気配を感じたって人は結構多い。
特に、後ろの方に座っている子たちは、みんな口をそろえて言っている。
「女の子だ!女の子が立ってる…!」って。
気配を感じて振り向こうとした瞬間に、『…イテッ…』『…イテッ!』っていう女子の声が聞こえる、聞こえた気がする、とみんな言うのだ。
もちろん、先生はいつも教室を見渡しているから、そんな子が後ろに立っていればすぐ気づくはず。
授業中に誰かが驚いて「ひえっ」て声をあげても、先生は「どうした?急に?」って小首を傾げるばかり。
すぐに「集中しような。」って言って、授業を進めちゃうので、きっと何も見えていない、いや何もいないんだと思う。
そう思っていたある日の朝、もうすぐ授業が始まるって時間に、誰かが変なことを言い出した。
例の『後ろに立っている女の子』の正体についてだ。
実はうちのクラスに、ここのところずっと休んでいる子がいる。
『変なうわさ』が広まる、ちょっと前からである。
もともと休みがちな女の子だったので、みんなも特に気にしていなかった。
けれども、よく考えてみると、その子がこんなに長い間休むのは初めてだ。
それとなく先生に聞いても「う、うーん、ぼ・僕にもよくわからないんだよ。急にお休みって連絡が来たきりで…」としか答えてくれない。
きっと『後ろに立っている女の子』は、ずっと休んでいた『あの子』だ。
よく休んでいたのは、『何かの病気』だったからに違いない。
急に休んだのも、病気が悪化したからで、
「実はもうこの世には…いなくって… 寂しいから… 一緒に授業を…死んだ後も!!」
…なんて誰かが言い始めたので、教室は大パニックになった。
後ろの方の席の子は、男の子も女の子もみんな席から離れ、黒板の前に立っている。
真ん中ぐらいの席の子たちは、警戒して後ろを振り向きっぱなしで、誰一人として前を向かない。
気の弱い女の子は「やだよ〜、やめてよ〜」と、友達にすがりついて泣き出すしまつ。
ざわつく教室の中、開始のチャイムが鳴り響くが、とても授業どころではない…
と、その時。先生が教室に入ってきた。
騒然とした状況に、最初は口をあんぐり開けていた先生だったが、ふと我に返った様子で首を振った。
そして大きな声で「コラーッ!はやく席につけ!授業はじまってるぞ!!」と怒鳴った。
普段怒らない先生にしては、めずらしく本気で怒っている。
『女の子』を怖がっていたみんなも、目の前の先生の方が怖かったらしく、そろりそろりと自分の席に戻っていく。
一番後ろの列の子は、涙目でいやいや座っている状態だ。
そんな『みんなの気持ち』や『変なうわさ』に全く気づいていない先生は、ざわついていた教室が、静かになったのを確認すると、満足そうにうなづいた。
そして教科書を開き、右端の先頭の女の子に向かって、こう言った。
「はい。号令は杉田さん。」
はい。号令は杉田さん…? はいごぅ令は杉田さん… 背後れいは杉田さん…
『背後霊は杉田さん』
ダジャレ怪談協会による独自採点
- 伝統のネタ度:★★★
- ネタ文字数の長さ:★★★
- むりくり度:★
- 怖い度:★★★★★
- 先生の鈍感な感じ:★★★★★
本当に怖い『背後霊は杉田さん』の続きの話…
みんなが大騒ぎした次の日、ずっと休んでいた女の子、深津さんが久しぶりに学校に来た。
なんでも深津さんは、スカウトされて子役として芸能界にデビューしたらしく、新作ドラマの撮影のためしばしば学校を休んでいたとか。
この間の長い休みも、遅れていたドラマの撮影を一気に終わらせるため、仕方なく休んだみたい。
昨日撮影がおわったので、学校にも来れたし、秘密だった芸能界デビューのことも話してOKになったんだって。
みんなが先生に「先生は知ってたの!?」って問いつめたら、先生は目をキョロキョロさせながら、「し、知らなかった…な…」って言ってた。
嘘をつくのが下手な先生だ。
後ろ真ん中に立っている『謎の女の子』の正体はなんだったのか、結局わからずじまいのまま。
だけど、深津さんが登校してきてからは、みんなあんまり騒がなくなった。
いまでもときどき気配がしたり、声が聞こえたりするみたいだけど、気のせいだって割り切っているみたい。
深津さんを、ある意味『勝手に殺しちゃった』みたいなもんだから、みんなちょっと気まずいのかも。
…そういう私も、『謎の女の子』の正体を突き止めるのはあきらめた。
なぜなら私みたいに、
最後の列のさらに後ろから、
しかもど真ん中から教室をずっと見渡していても、
『謎の女の子』の正体はわからなかったからだ。
一番いい位置で、
昼も夜もずっと見張っていた私でも
突き止められないのだから、みんなに分かるはずがない。
私もみんなと同じように、気のせいだって割り切って、学級委員のお仕事をがんばるのだ。
授業中、気が散ってそうな子がいたら、ちゃんと言ってあげるの…
後ろ向く前に… 『ムイテッ。マエ、ムイテッ!』ってね…

