ずっと空き家だった隣の家に、沙梨野さん一家が引っ越して来たのは、ちょうど一ヶ月前。
挨拶に来てくれた時、「変わった苗字だな」と思ったけれど、そんなことは絵留を見た瞬間にふっとんだ。
両親と一緒に挨拶に来てくれた絵留は、僕よりひとつ年下で、同じ高校の一年生。
ものすごい美人…いやものすごい可愛い女の子で、いまでは学校一の有名人。
あの時は真っ黒なワンピースを着て、なぜか胸には黒い猫を抱いており、両親の後ろからじいーっと僕のことを見ていたのをよく覚えている。
あんまり見られるから困った顔をすると、絵留のお母さんも困った顔で「ごめんさいね、人見知りなの。」とフォローしてくれた。
その日以来いつも一緒に学校に行くけれど、実際のところあんまり話すこともできず、へんな距離感で毎日を過ごしている。
今日はたまたま帰りも一緒になったのだが、結局ほとんど喋ることもなく、家に着いてしまった。
「もっと色々話せたらなぁ…」なんて思いながら玄関をあけると、なぜか絵留の飼い猫『ヤマさん』が、ちょこんと廊下に座っていた。
「あれ?絵留んとこの猫がうちに来てるよ?どしたの?」
と廊下の奥に向かって言ったけれど、誰も返事をしない。
「誰もいないのー?」
…返事はない。
毛繕いをしていたヤマさんだが、僕を見ると「ニー」と鳴いて、こちらに向かって来た。
「ヤマさん、うちの母さん知らない?」
なんて言いながらヤマさんを抱っこして覗き込むと、ヤマさんはいきなり「フゥゥゥッ!」と唸り声をあげ、暴れ始めた!
ヤマさんの前足が、はずみで僕の口の中に飛び込む!
「ううっ!?」
「あ・足、苦みがある!?」
あ・足、苦みがある…? あ・あし、にがみある… ああ、しにがみがぁーる…
『嗚呼、死神Girl…』
ダジャレ怪談協会による独自採点
- 伝統のネタ度:★
- ネタ文字数の長さ:★★★★
- むりくり度:★★★★
- 怖い度:★
- 苦み:★★★★★
英単語説明
『Girl』は18 歳ぐらいまでの女の子や少女のことです。
